「障害受容と社会参加」をテーマにした9月のワンコインセミナー。講師の押富さんは、ご自身の発症から現在に至るまで感じた事やその変化、それらの経験を踏まえて考えた医療と福祉の役割、セラピストの支援の在り方等々、経験から得た知見を分かりやすくお話してくださいました。
押富さんが特に強調されたのは、2つ。
ひとつは、「障害を認識するのはセラピストと患者とでは時間差がある」ということ。
医師やセラピストは知識や経験から患者さんの障害度を測り、患者さんに伝えますが、伝えた=患者さんが自分の障害度を理解した、というわけではありません。患者さんが自身の病状や障害を理解するための支援にあたっては、このことを知ってほしい、とのこと。
ふたつめは、「セラピストは対象者の生活のパーツを見るのではなく、生活全体を流れとして見てほしい」ということ。
例えばADLはあくまでその人の生活全体を構成する要素の一部分で、ADL以外の構成要素がその人らしい人生と言えるでしょう。病気や障害を得るということは、そんな、その人らしい人生を再構成する必要に迫られるということ。機能訓練やADL自立や介助量軽減はあくまでも人生の再構成を促す手段であり、目的ではありません。対象者の生活の一部分のみに注目するのではなく、生活ひいては人生全体に思いをはせ、寄り添い、流れ全体を理解した上で、必要となるであろう訓練を提供する、そんなセラピストになってほしい、ということと理解しました。
今回の参加者はOTPTだけでなく、介護福祉士・ケアマネ・引きこもり若者支援者等、多彩な顔ぶれとなりました。皆さん、職場や家庭でのヒントにつながる何かを得た様子。
押富さんと同じく当事者セラピストの山田さんは、彼女の話を聴いて
ぶつ切れのリハビリ→静止画
生活(人生)の流れ→動画
セラピストが関わるのは人生の一瞬。
そのとき、止めどなく流れる人生という名の流れをイメージしてくれたなら…一瞬であってもそのセラピーは人生を色づかせると思います。
とご自身のFBでコメントしてくださいました(許可を得て転載しています)。
長時間にわたり話してくださった押富さん、雨の中を参加してくださった皆様、本当にありがとうございました!
さて、10月のテーマは「高次脳機能障害者の社会生活支援」です。CVAや脳外傷などで高次脳機能障害となった方にたいする支援を、事例を通して一緒に考えたいと思います。
日時:10月29日(木)18:30〜20:30
場所:日本福祉大学名古屋キャンパス北館5F
話題提供者:OT田原美智子さん
次回も引き続きどなたでも参加できる内容になってます。どうぞご参加ください!