2011年 水口さんは職場で倒れました。救急搬送された病院で
クモ膜下出血の治療を受けました。一命はとりとめたものの
遷延性意識障害が約3か月続きました。危機的な状況が何度も
訪れます。入院生活では付き添ったご家族、友人、職場の上司・同僚と
水口さんを中心にたくさんの人の輪ができ、ひろがってゆきます。
水口さんの意識が回復を見せるとともに半側空間無視や
感情失禁、左側上下肢の麻痺、強い痛みに襲われました。
作業療法士であり作業療法士の養成に力を尽くされてきた
水口さんです。「意識の中で心身に起こっていることを自分のもっている
知識で理解しようと強く思った。」と語られました。
『病室にあって自分の病状を語ることのできる患者、リハビリのセラピストに
指示がだせる患者、黙っていない患者になります。それが私にできること。』
水口さんの明るさに「作業療法士という生業」をセミナーに参加された皆さんが
感じられたのではないでしょうか。
それだけではありません。急性期3か月の遷延性意識障害という病状ののち
5年を経過し日常的に介護の必要な状態であってもなお日々前向きに変化して
いかれる姿、きっかけをつかんでいかれる力に「生命とは何か」を考える機会となりました。
人間の生きる力、可能性を信じて参加された若いセラピストの皆さんは
元気をもらったことでしょう。
急性期の病状について、急性期リハビリの可能性について当時同じ
職場で働かれていらした原先生が水口さんのお母様の日記をもとに
補足していただきました。水口さんに付き添ってこられたご家族の皆様
合わせて感謝いたします。